賃借庁舎を買い取る?!

2014年9月19日 07時29分 | カテゴリー: 市民参加, 議会報告

 稲葉市長は、9月17日の全員協議会で「新庁舎の建設を凍結し、賃借している第2庁舎を18億円で買い取る」と表明しました。
当初、市長は16日の総務企画委員会で行政報告し、議案を上程しようとしていました。しかし、あまりに突然の提案にネットをはじめとする多くの会派が反発し、全員協議会を行う事になったものです。
 16日夜、拙速な第2庁舎買取に反対する11人の議員の呼びかけで緊急の集会が開かれ、70人ほどの市民が集まりました。その場で、市長に対する抗議のメールやファックスを送ること、買い取りに賛成の議員に対しても抗議の意思を表すために市役所前で要請行動を行う事などが確認されました。

小金井市の市役所事情

 小金井市の新庁舎建設の問題は、1986年(昭和61年)にさかのぼります。庁舎(現在も本庁舎として使用中)が手狭になったため、新たな庁舎が必要になったのです。市役所内部で様々な検討が行われ、現在、第2庁舎が建つ土地を庁舎建設候補地に選定したものの、土地所有者に売却の意思がなく断念。その後、所有者が賃貸の意向を示しましたが、「リース庁舎計画の白紙撤回を求める請願書」が採択され、検討が中断します。

 1991年(平成3年)に、現在の市役所建設予定地(通称 ジャノメ跡地)の処分問題が持ち上がり、取得を求める陳情が提出されました。この陳情は全会一致で採択され、市はこれを受けて利息も含めて約120億円で土地を取得しました。ところが、庁舎建設の条件整備に10年かかるとして、1993年から賃貸庁舎で業務を開始しています。

 建設予定地への着工は進展を見せないまま、1999年(平成11年)、市は武蔵小金井駅南口第2地区再開発地域に市役所を建てると、方針を転換。大きな反対運動がおこります。市長は計画を撤回せざるを得ませんでした。

小金井市にはごみ処理施設問題もあった

 自前のごみ処理施設を持たなくなった小金井市は、その建設用地も探さなくてはなりませんでした。2007年(平成19年)、新庁舎建設予定地であったジャノメ跡地が処理場の建設予定地として浮上します。この突然の提案も、市民の反対運動で断念せざるを得ませんでした。

やっとできた「新庁舎基本計画」なのに

 2011年(平成23年)6月、公募市民7人を含む新庁舎建設基本計画市民検討委員会を設置され、1年8か月にわたる議論が行われました。2013年(平成25年)3月に基本計画として策定され、今年度は基本設計委託料3,300万円を予算計上していました。

庁舎建設のための積立基金残高は

 9月現在の見込み残高は約5億円です。基本計画では庁舎建設に必要な額はおよそ55億円としており、積立基金4億円、34億円を借り入れ、一般財源から10億円を支出する計画です。

第2庁舎買取を市はなんと説明している?

・9月9日に、土地所有者と土地建物を18億6600万円で買い取ることで合意した。
・18億6600万円のうち、約14億円は借金。7億円は金利0.5%で振興協会から借りることができる。残りは銀行から金利1.5%で借りる。
・振興協会から借りるためのタイムリミットがあるため、24日の本会議までに議決してほしい。
・新庁舎の建設計画の凍結は最長で15年間。(市債の返還が15年)
・ジャノメ跡地に新庁舎建設の考えは変えていない。
・建築資材、労務単価が上昇していて、今の計画のものを建てようとすると70億円かかると試算した。今、高いものを建てるより時期を遅らせて基金を積み立て、計画通りのものを建てることを市は選択した。

 

 ’92年に用地を取得してからも、計画的に基金を積み立てていないこと、他の場所に庁舎を建設しようとしたり、利用目的を変えようとしたことで、新庁舎の建設は大きく遅れていました。これは、稲葉市長の大きな失政といえます。賃借庁舎(リース庁舎)の解消は多くの市民の願いですが、それは賃借庁舎買い取りで解消するべきではありません。ましてや、取得費用として提示した約18億円のうちの7億円が金利0.5%で借りられて「安いから」は理由になりません。
 それでも市の提案が最良のものだというなら、市はまず、市民へのていねいな説明をするべきです。複数の検討案を提示し、市民にも検討の時間を保障すべきではないでしょうか。
 新庁舎建設は30年近くも市民の関心を集めてきました。そして、市が新たな提案をしてくるたびに、「ジャノメ跡地に賃貸ではない庁舎建設を」と選択してきたのです。このことを市長は忘れてはいけません。